独ワッカー、中国太陽電池企業へのアンチダンピングに反対（PVeye）

デイリーアイDaily eye

独ワッカー、中国企業へのアンチダンピング反対　（2012.5.29）

　独ポリシリコン大手のワッカー・ケミーは29日、中国製の太陽電池セルに対するAD（アンチダンピング関税）措置に反対する意向を表明した。米商務省が5月16日、中国の太陽電池メーカーのダンピング（不当廉売）行為を認め、最大250％のADを課す予備裁定を下したことを受け、欧州各国でも同様の処置を行う動きが出ていたためだ。
　同社のルドルフ・シュタウディグルCEOは「保護主義的な措置は、国内の太陽電池業界を支援することにはならず、むしろ太陽電池技術の将来展望を損なうものになる」とし、「貿易障壁は、オープンかつ公正な競争を確保するための適切な方法ではない。競争条件のバランスに関する意見の相違は、政治的な対話を通じて解決できる。制裁措置は競争を抑制するだけだ。それらは太陽電池業界のあらゆる企業にとって不利になる貿易摩擦を引き起こす可能性を秘めている」と主張した。
　太陽電池モジュールの生産地に関わらず、太陽光発電システムとして設置する際には、地元企業の貢献が大きいとしたうえで、「ドイツにおける再生可能エネルギーへの移行の動きの足かせになる」とも述べた。
　ワッカーは、ポリシリコンの大半を中国メーカーに販売している。ADが中国メーカーに課せられれば、中国の太陽電池セルの生産は停滞し、ワッカーのポリシリコン販売に大きく影響する。それを避けたい狙いが伺える。（2012.5.29）